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薬膳レシピ 鶏むね肉

薬膳レシピ 鶏むね肉 

近年、生活習慣病の増加に伴い、消費者の健康志向から脂肪の少ない食品を選択する傾向が強くなっています。鶏むね肉は、タンパク質を豊富に含むだけではなく、脂肪含量が低いことから、生活習慣病の予防や健康維持に優れています。ぜひとも美味しく上手に取り入れたい食品です。


プロフィール 西村敏英 日本獣医生命科学大学鶏むね肉の栄養・機能成分
鶏むね肉は、水分が約75%、タンパク質が約22%、脂肪はわずか1.5%です。私たちが、食べている食品中のタンパク質は、その消化産物であるアミノ酸が毎日のタンパク質代謝の原料になります。食事からのタンパク質の摂取量が少ないと、私たちの体を構成するタンパク質が作れないので、健康維持に支障をきたすことになります。鶏むね肉は、タンパク質を豊富に含む重要な供給源であり、健康維持に有用な食材です。また、脂質含量が極めて低いことから、ダイエットにも適しています。
 鶏むね肉には、アンセリンとカルノシンというイミダゾールジペプチドが豊富に含まれています。このペプチドは、発ガン老化に対する予防効果が期待される抗酸化作用抗疲労効果をもっています。このペプチドを1日に200mg摂取すれば、抗疲労効果が期待出来るとされています。100gの鶏むね肉には、このペプチドが数百mg~1g含まれていることから、1日に鶏肉を50g食べれば、抗疲労効果が期待出来ます。鶏肉タンパク質が分解されて出来るペプチドには、血圧上昇抑制効果があることも分かっています。

鶏むね肉の美味しさとそれを引き出す調理方法
 食品の美味しさを決める要因には、さまざまありますが、味、香り、食感は大変重要です。鶏むね肉は、うま味成分であるグルタミン酸とイノシン酸(IMP)を多く含んでおり、強いうま味を持っていますが、もも肉と違って、調理するとパサパサして美味しくないと言われています。しかし、調理方法を工夫すれば、うま味の強い、ジューシーな鶏むね肉になるのです。
 鶏むね肉は、一つの大きな筋肉でできており、それを構成する筋線維がもも肉のものよりも長いので、60℃以上の温度で加熱すると、筋細胞に含まれる繊維である筋原線維が縮み、鶏むね肉に含まれる水分が失われ、肉がパサパサになります。そこで、鶏むね肉を美味しくするために、①加熱前に、むね肉を包丁で叩いて筋線維を短くする処理、②加熱前に、むね肉にフォークで穴をあけ低濃度の食塩水溶液に漬ける前処理、③むね肉を60℃で低温真空調理する等のアイデアが提案されています。ぜひ、試してみてください。

鶏むね肉の加工
 最近、私たちは鶏むね肉を使って「乾燥食肉製品」を開発しました。これは、乾燥した鶏むね肉の削り節です。カツオ節と比べて、うま味成分のグルタミン酸が約3倍多く含まれていることも分かっています。料理の素材特有の風味を引き立たせるための「だし」としても使用しやすい特徴があり、今後の商品化が期待されています。
※「地鶏の旨み」問い合わせ 丸本 0120-603-248
 

ひと手間で鶏むね肉が驚くほどジューシーになる下処理
★加熱前
①むね肉を包丁で叩いて筋線維を短くする
包丁の背で肉を叩く、または並行にはしる繊維の方向を確認し、 断ち切るように切る
★加熱前
②むね肉にフォークで穴をあけ 低濃度の食塩水溶液に漬ける
鶏むね肉(皮なし)1枚・砂糖 肉の重さの1%・塩 肉の重さの1%・水 肉の重さの10%(つけおきの目安時間:およそ1分)
③むね肉を60℃で低温真空調理
密閉タイプの保存袋に鶏肉を入れ、空気を抜いて湯煎などで低温加熱

薬膳レシピ
冬は、立冬(11月8日)から立春(2月4日頃)までの立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒という六つの節気を含めた一年で最も寒く、乾燥する季節です。  薬膳の考え方では、人体は「腎」に属し、腎が弱まると全身の冷え、腰がなえる、白髪が増える、など老化を早める原因にもなります。補う食品としては、ごまなど黒色の食べ物、うま味の多い海鮮物、葡萄などのベリー類などです。また、冬の間は苦味のとり過ぎを避けて、体を温める食品(香辛料、香味野菜、葱、生姜など)を取り入れます。特に子供、女性、老人は保温に努めて体質を増強し、抵抗力を高め、適度に運動するよう心がけましょう。

ミラノ風カツレツ①鶏むね肉は繊維に直角になるように筋を切り、観音開きにして両面を包丁の背で 叩いて薄く伸ばし、塩こしょうする
②ボールに卵、粉チーズ、オリーブオイル、塩を混ぜて卵液を作る
③肉を卵液にくぐらせてから、パン粉をつけ、包丁の背でグリル模様をつける
④熱したフライパンに分量の油を入れパン粉をつけた肉を色よく揚げ焼きにする
⑤食べやすい大きさに切ったプチトマト、プリーツレタスにオリーブオイル、塩、こしょうを入れて混ぜ、バジルを添える

[4人分] 鶏むね肉80g×4枚・塩/こしょう少々・油
【衣】卵2個・粉チーズ大さじ2・オリーブオイル 大さじ1・塩 小さじ1/2・パン粉大さじ4【サラダ】プチトマト8個・プリーツレタス40g・生バジル8枚・オリーブオイル 大さじ2・塩/こしょう1.2g/少々・イタリアンパセリ少々・レモン2個
佃煮①鍋のだしで使用した昆布と、水で戻した干し椎茸を
 千切りにしておく
②生姜をやや太めの千切りに切る
③だし汁に調味料、生姜、椎茸、昆布を入れ、
 中火で煮汁が半分くらいまで煮て花かつおを入れる

[4人分] 生姜60g・昆布10cm・干し椎茸20g・砂糖 大さじ2・濃口しょうゆ 大さじ2・水100g・花かつお5g・料理酒5g・白ごま5g


 
鶏団子のあったか薬膳鍋薬膳の食材たっぷり!
鶏肉‥胃腸の働きをよくして体力を回復
生姜、葱、韮、唐辛子‥臓腑を温め冷、えの症状を改善する
海老‥体を温め体力を増強し抵抗力をつける
春菊‥気の滞りを取り除き、咳を鎮める
クコの実‥肝臓、腎臓を滋養する 

①鶏のむね挽肉と材料、調味料を混ぜて1口大の団子を作る
②車海老は背わたを取り、豆腐、野菜をそれぞれ食べやすい大きさに切っておく
③鍋に水と昆布を入れて30分つけ鍋を中火にかけ、沸騰直前に昆布をとりだす
④花かつおを入れ、再度中火にかけ、沸騰したら火を止める
⑤花かつおが沈んだら布巾でこし、豆乳と塩を入れて豆乳だし汁を作る
⑥鍋で豆乳だし汁を煮立て、鶏団子を入れ、アクを取ったら野菜を入れて煮る
⑦最後に(お好みで)白菜キムチとくこの実を加えて一煮立ちさせます
⑧盛り付けして生姜の千切りと赤唐辛子をのせる

[4人分] 車海老4尾・絹ごし豆腐1丁・白菜200g・白菜キムチ100g・長葱1本・椎茸4個・春菊100g・韮100g・えのき茸1袋・くこの実10g・生姜(千切り)10g・赤唐辛子少々【鶏団子】鶏むね肉300g・長葱(みじん切り)大さじ2・生姜汁 小さじ1・料理酒 大さじ1・片栗粉 大さじ1・卵1/2個【豆乳だし汁】豆乳400g・花かつお10g・黒砂糖2g・昆布10cm・水:塩500g:1g
 

プロフィール 佐藤和美 日本医科大学付属病院管理栄養士・国際薬膳師・中医薬膳専門士